営業メンバーによるブログです

「先生」の営業

date:2009/06/11 19:50 author:じゃこも

先日、友人である能楽師が「道成寺」という能を上演するというので、観に行ってきました。

能は言うまでもなく、日本の伝統芸能の筆頭に挙げられるくらいの歴史と伝統をもった演劇です。「道成寺」という曲は、現行曲のなかでも十指に入るくらいの超難曲であり人気曲でもあります。若手能楽師は書生からスタートして、独立後10年くらいをメドにこの曲を初めて演じるのが慣わしです。若手の卒業試験とまでいわれるのはそのためです。
この友人も初めて「道成寺」を勤めることができて、こいつもやっと一人前になったのだなあと、感慨ひとしおでした。

その友人の奥様と久しぶりにお会いして、独立してから「道成寺」にいたるまでの苦労話を聞かせていただきました。
能楽師の仕事には、能の上演のほかに、素人弟子(一般人)のお稽古というものがあります。素人弟子は当然、月々のお月謝を納めて稽古を付けていただきます。このお月謝というのが能楽師の固定収入になりますので(興行収入だけでは食っていけないんですね・・・)、能楽師にとっては、いかにたくさんのお弟子さんを集めるかが死活問題になります。
父親が能楽師であれば(いわゆる「家の子」)は父の地盤を受け継ぐことができるので楽なのですが、その友人のように素人から能楽師になった人はゼロから始めなければなりません。HPを立ち上げるのはもちろん、名刺を作って市町村を営業回りをしたり、地域のカルチャースクールをこまめに開催したりと、涙ぐましいまでの努力が必要になります。特に自主公演のチケット売りは常に悪戦苦闘です。奥様からじきじきにメールで「主人は頑張っております。どうかよろしくお願いいたします」などのご丁寧なご案内をいただいたりしますが、これだって並大抵の作業ではありません。能楽師って、実は優秀な営業マンでもなければいけないんです。
この友人はこの奥様にも恵まれ、今のところなかなか順調にいっているようですが・・・本当にお察しします。

そっくりそのまま弁護士業に通じると思いませんか?
イソ弁からスタートして、5年程度で独立して自分の事務所を構えます。ほぼゼロからのスタートになりますが、イソ弁時代の人脈を使ってなんとか事件の依頼を受けていきます。
ただ単発の依頼だけでは収益は常に不安定になってしまうので、固定収入としての顧問会社等の固定客を確保する必要が出てきます。ここが生命線になってくるのです。

でもこれから弁護士が倍増してくる時代になり、より競争は厳しくなっていくでしょう。
電車内広告やTVのCMなどで多くの法律事務所の広告を目にすることが多くなりましたが、まだまだほんの一部です。大多数の事務所がHPすら持っていません。弁護士があぶれる時代がもうすぐそばまで来ているのに・・・。

同じ「先生」と呼ばれる職業ですが、その点では弁護士の先生方はだいぶ水をあけられているようです。


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